「書いておかないといけない」
そう感じましたので書き残しておきます。
ここしばらくは法人設立、新規事業展開支援、資金調達、事業計画書策定、各種契約書等の作成など事業者支援をしています。
しかし、最も多い相談、受任案件は相変わらず「相続手続き」です。
そして、ここ最近の相続・受任案件は「金融資産を預けている金融機関が不明」というものが目立ちます。
金融取引のオンライン化、ペーパーレス化、そして個人端末のブラックボックス化の悪影響と言えるでしょう。
ネットバンキングは手数料も安く、時間や場所に縛られずに迅速な取引ができるのでとても便利です。
更に、端末やPCのアプリで管理・操作できるためにデジタルが得意な方や先進的な方ほど利用率が高いです。
何が問題であるかというと、デジタルに強い方が亡くなってしまうと「金融資産が行方不明」になり、相続財産の把握・手続きが困難になり時間がかかってしまうということです。
そうなると相続の熟慮期間を超えて相続放棄の期限を超過してしまったり、口座が凍結しないために継続的な引き落とし、取引が停止せず、結果的に相続財産が時間と共に目減りしてしまいます。
また、債務の返済が自動引き去りであった場合は被相続人の債務が返済され続け、結果的に債権者が判明する時期が遅れ、思わぬ債務を相続してしまう可能性もあるのです。
金融資産口座が凍結すると困ると思っている方が多くいらっしゃると思われますが、それは大きな勘違いであり、間違いです。
金融資産口座を凍結すれば、自動引き去りの支払いの全てが停止し、金融資産が保全されると共に、被相続人の契約相手からの連絡が早くなり、その結果、相続債務の把握が早くなり、継続取引の解約ができ、更に各種保険や共済などの契約先も判明するのです。
それに加えて、相続人であれば被相続人の口座から法定相続分の1/3までは、金融機関あたり150万円を上限に払出してもらえます。
例えば、ある金融機関に1000万円の預金があったとすれば、配偶者の場合1000万円×法定相続分(1/2)×1/3で166万円なので、上限の150万円を払出してもらえます。
他の例えだと、配偶者アリ、子供3人の場合、子供の一人は法定相続分(1/6)の1/3で55万5555円まで払出を受けることができます。
葬儀代や当面の生活費を相続財産から支弁できるようにそのような制度が規定されているのです。
通常、支払いが停止すると契約先が文書で支払いを請求してきます。
被相続人が生命保険に加入しているのかどうかも不明であっても、保険料が引き落としできなければ保険料の請求によって加入先が判明し、無駄な保険料の支払いをせずに保険金の手続きに移行できるのです。
サブスクリプションで契約しているサービスの解約手続きも早めにできます。
ローン返済やクレジット決済、リース契約なども早めに把握できることで思わぬ負の遺産を背負ってしまうリスクも減らせます。
適正で迅速な手続きが無駄を省き、無駄な出費を回避し、思わぬリスクを減らし、保険金などの受領も速めてくれるのです。
金融機関に相続の発生を通知せずに放置すると真逆のことが起こり得ます。
そして、想像して欲しいのですが・・・
「現代において収入や貯蓄の多い人はどういった人であるか」
更に、
「逆に継続的な支払いや負債の多い人はどういう人であるか」
年配の方の相続財産でも抜け落ちてしまって手続きされていないことがあります。
非課税の不動産や相当以前に取得した株式、出資金などが後から発覚・発見されたりします。
しかし、それ以上にデジタルに強い方の相続財産は把握が難しいです。
事業を営んでいる方なら負債があるのは自然です。
最近は色々なサービスがサブスクリプション化してきています。
SDGsでペーパーレス化・デジタル化も速いです。
便利になった反面、相続財産の把握が難しくなっています。
正直言いまして「素人にはおススメできない」というものです。
専門家による、迅速適正な手続きは当然有料です。
専門家もピンからキリまでいて、更に千差万別で、またその料金は能力やサービスに比例しません。
許認可手続きや届出といった業務は同じ結果が出ますので、安く引き受けてくれるところで良いと思います。
しかし、内容も結果も千差万別で何一つ同一の案件が存在しない「相続」については料金で選んではいけません。
Webで「相続」を検索すると相続の見積りプラットフォームが上位に出てきます。
ここでまた想像して欲しいのです。
「紹介サイトの掲載料や紹介マージンはいかほどか?」
「相続案件を薄利多売で引き受ける専門家は懇切丁寧か?」
「加速度的なデジタル化に対応できる優秀な人間が薄利多売戦略を取るか?」
「初期見積もりと最終的な請求額は果たして同じか?」
「見積りプラットフォームの運営会社の目的は?」
安い理由はどこかに必ずあるものです。
高くても評判の良い理由も同様です。
何せ当職は前職がバーテンダーですからね、しかも本格高級志向の。
どんな職に就いているときも「こんな〇〇がいたらいいのに」という自己の理想を目標にして方向性を決定しているだけですけれども。
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