当事務所の報酬見積りの立て方

だいぶ久しぶりの更新になります。

3月までにいったんすべてのご依頼を完遂し、終わったあとすぐに怒涛の依頼ラッシュがありまして、ようやく落ち着いてきたところです。

依頼の大半は遺言・相続でしたが、法人設立や創業支援、資金調達の依頼もありました。


当職が行政書士業を始めてこれまで、定型の安易な依頼というのは全くありません。

それどころか、ひとつの分野での初受任が毎回非常に稀な難解なケースばかりです。

もはやそういった運命にあるものだと認識し始めています。


現在お受けしている任務ももうすぐ完了する一件を除けば、完遂できるのか不安があるくらいに難しい案件です。

そして、ここ3か月の間に相談のみで受任しなかった案件も少なからずあります。

それらを受任しなかった理由は「行政書士業務の範疇を超えている(他士業法違反になる)」「利用できた制度や方法がもはや手遅れである(相続発生前なら対策できた)」「最終的な解決が訴訟か審判になる可能性が高い(当事者間の意見の相違)」などです。

そこまで状況が悪化する前で最低2年程度の余裕があれば解決の糸口があったと思います。


さらに先日入った相談は別の行政書士に既に頼んでいるが、不安だから乗り換えたいというものでした。

各種許認可や法人設立などは誰に頼んでも結果はそう変わらないと思いますが、相続や遺言作成支援の民亊法務や、資金調達や新事業創出や補助金等の申請支援などの事業計画書を要する業務は支援する専門家の力量が大きく反映します。

当職は昨年、事業復活支援金で事前確認で120件、申請支援は200件近くやっておりまして、不支給になったのは3件です。

手続きの抜けや錯誤、記帳会計・決算関連書類の不備などがあっても全て補正なり修正申告なりを経て支給に向けて尽力した結果だと思います。


今まで受任した依頼も全て、想定できる問題点を解決するために、行政書士法に定められた「権利義務又は事実証明に関する書類」の収集と作成で完遂してきました。

そしてそれは最終的な解決が訴訟、審判、調停及びADRなどの裁判所又は弁護士が関わることになったとしても有効な証明書類を揃えるということだと思っています。


そうすることで結果的に自身の手では解決を図れなかったとしても、ある程度の必要書類を適法に揃えてあることは依頼者の抱えている問題の解決に役立つと思います。

それゆえに、見積書は手続きの流れを段階的に分け、それぞれに対して報酬を設定しています。

依頼に対して明細が無く、総額いくらでという見積でも構わないのでしょうが、依頼者としてもどのような手続きがあってどの程度の手間がかかって、その報酬がいくらなのか明示してあれば安心だと思います。

毎回依頼を完遂できるのであれば問題にはならないのでしょうが、時には中途で任務が終了することもあるはずです。

行政書士は手続きや書類の作成を代行する士業であって、代理権を有する資格ではありませんので、手続きや作成の代行に対して報酬を得るものです。

業務によって依頼者が得た経済的価値や法的価値に対して一定割合での成功報酬を請求できるのは弁護士だと思います。


当職に相談が来た際に、相談の内容ではなく、先に業務に対する報酬額を尋ねられることもありますが、その場合は予想される最高値でお答えしています。

特に相続の場合は依頼者の認識と事実がかけ離れていることもあるからです。

許認可申請や車庫証明(当職はやりませんが)などはあまり手間は変わらないと思われますので、基本設定価格をお伝えします。

法人設立は設立する法人の内容によっては手間が大きく変わることもあるので、基本設定価格を伝えつつ、詳細をお伺いしてから見積もりを出します。


内容についてほとんど話さずに初めに料金をお尋ねになる相談者もいらっしゃいます。

その場合は想定できる問題点を全て加味してお伝えするので、かなり高い価格お伝えすることになります。

安くお願いしたいという相談者はその時点で依頼することをやめるでしょう。

しかし、安く見積もりを出しておいて、当初の予定よりも手続きや事務が過大だったとして請求額が見積額とかけ離れていた場合はどうでしょう?

実際、そういったケースは少なからずあるだろうと推測できます。

そして、そうなった場合は問題を解決できたにもかかわらず感謝の気持ちは小さくなり、場合によっては争訟にまっで発展したりもするでしょう。


面倒だとは感じるかも知れませんし、営業下手だろうとも思いますが、問題解決後に適正な報酬を感謝されながら受け取りたいのでこのやり方で業務をこなしております。

結果として、単発の依頼が多い行政書士業にもかかわらず、リピートや紹介が徐々に増えてきました。

契約内容や書類の内容、法令の説明などを丁寧に理解を得ながら仕事をしていますので、時給換算するとひどいことになっています。

それでも他の行政書士よりも多めにいただいているのではないかと思います。

忙しく仕事をして、なんとか生活費を捻出している状況ですが、顧客単価と顧客満足度は非常に高く推移しています。


めったに記事を書けないくらいに時間が足りない状況で今の収入なのは、手間をかけすぎているからだろうとは認識していますが、これ以上効率化するには設備投資をするか優秀な補助者を雇用するかでしょうか。

行政書士事務所 ALL C's

「希望の種」を育み「不安の種」を取り除く ・自由に仕事をしたい ・会社社長になりたい ・事業を拡大したい ・後継者を見つけたい ・ハッピーリタイアしたい ・安心できる終活をしたい ・先の不安を相談したい あなたの夢の実現と不安の解消のために伴走いたします 山形県米沢市で活動する行政書士・事業承継士 渡部 忍のサイトです。

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